融資を実行してもらう際に、無担保・無保証で実行してもらえれば、それ以上のことはないのですが、中小企業が資金を借入れる際には、何かしらの担保(物的・人的担保)が必要となるのが一般的です。
金融機関にしてみれば、融資した金銭が回収できないことは極力避けるべき事態であり、債務者に万が一のことが起きてしまった場合には、担保から資金の回収を図るということになります。
物的担保
代表的なものは「不動産」です。土地や建物に抵当権を設定します。動産にも「譲渡担保」が設定されます。また、売掛債権に担保が設定されることもあります。
1、不動産
比較的価値が高く、価値の評価自体も見積もりやすく、比較的早期に現金化できるなど、メリットが多いので担保としては、最も有効です。
建物
時間の経過とともに、その価値が徐々に減少してくるため、建物の耐用年数に対する築年数で価値が変わります。
物理的にそこに存在していたとしても、価値「0」ということもあり得ます。
また、権利関係において、「建物」の権利だけも有していても不都合もある土地と比べると、担保価値は低くなります。
価値を少しでも高く保つ努力として、マメなメンテナンスが必要ですね。最低でも、掃除位は絶対にやっておきましょう。
土地
建物との最大の違いは、時間の経過による経年劣化がないということです。
バブル期のようなこともありましたが、基本的に価値の変動は小さく、天災等が無い限り、大きく形状が変わるようなこともありません。
建物よりも、価値のブレが少ない点で、金融機関には好まれます。
ただし、流動性に乏しいもの、市街化調整区域や農地など、各種制限のついた土地や、地方の人里離れた物件などは、どれだけ広い面積を有したとしても、担保としては評価されません。
ただし、ノンバンクにおける融資で考えると、一般的には担保評価の付かない不ような動産でも、独自の評価を加え融資が実行できることもあります。
2、動産担保・債権担保
ABL(アセットベースドレンディング)と言い、最近積極的に使われる事の多くなってきたものです。
担保に提供できるような不動産を持つ企業は、やはり多くはありません。
一方で、業種にもよりますが、在庫や売掛債権などは、多寡の違いはあれどどんな企業にもある物でしょう。これらの資産を積極的に担保として活用することを言います。
売掛債権担保
主に売掛債権を譲渡担保に設定する為に、債権譲渡登記の行います。
債権の譲渡ではないので、売掛先への通知や承諾の必要もなく、売掛金入金口座も変更不要なので、取引先からの信用も既存せずに活用できる利点があります。登記が必要ですが、商業登記簿謄本とは別の債権譲渡登記ファイルに記載されるため、取引先等が債権譲渡ファイル等を確認しない限り、その事実を知られることもなく、信用不安も起こりにくいと言える担保形態です。
在庫・機械設備等
在庫や機械設備に譲渡担保を設定するために、動産譲渡登記を行います。
動産譲渡登記は、対象物の所有権は債権者に移転しますが、担保とするものを手元に置いておくことができます。
したがって、在庫であれば販売をしたり、原材料であれば製造加工することができ、機械設備であるならば、そのまま使用を続けることが可能です。
以上から、融資を受けたい企業にとっては、使い勝手の良い担保であると言えます。
また、生き物でも担保にすることが可能です。畜産業者が牛や豚を担保に受けると言うような場合です。
その他
預金債権や有価証券、保険金なども担保として機能しえます。