債務者格付けとは
「債務者格付け」という言葉を聞いたことはありますか?
金融機関が行う融資先企業の格付けのことを、「債務者格付け」と言います。
この格付け、各金融機関によって独自の査定により10〜20段階に分けて格付けが行われ、その審査によって、融資の条件が変わってきます。
2019年12月までは、金融庁による「金融検査マニュアル」というものがありました。どの金融期間もそのマニュアルに沿って格付けを行っていたのですが、今は廃止となっています。今後は個々の金融機関による審査がなされていくことになります。
金融機関は、なぜ債務者格付けを行うのか?
融資を業とする金融機関ですから、融資したものは、利息と合わせて全額回収して、それをまた次の融資の原資とする。
ただ、必ずしも融資をしたものが、全額回収できるとは限りません。融資先の財務内容、事業成績によっては、回収困難な事態も発生しないとも限りません。そうなってくると、銀行自体の財務内容に影響が出ます。そのようなことがないように、銀行は債務者格付けをすることで、自身の財務内容をしっかりと把握するのです。
債務者区分
正常先
業況が良績で、財務内容にも特に問題の無い債務者。
この段階にある企業に対しては、金融機関側から、積極的に融資を受けませんか?と営業が来ます。
要注意先
今後の管理において、注意を要する債務者。
・金利減免・金利支払い猶予を行っている等、貸出条件に問題のある債務者。
・元本返済もしくは、利息氏支払が事実上延滞している等、履行状況に問題が発生している債務者
・業況が芳しくない、もしくは不安定な債務者、または、財務内容に問題のある債務者。
要管理先
要注意先の内で全部または一部が、3か月以上の延滞債権及び貸出条件緩和債権(要管理債権)になっている債務者。
現実的な問題として、債務者格付けにおいて「要管理先」に分類されると、事業資金の調達手段として新規融資を受けることはかなり厳しい状況であると言わざるを得ません。
常日頃が財務内容には気を配り、悪くとも「要注意先」に分類されるような経営を心掛ける必要があります。
破綻懸念先
今後経営破綻に陥る可能性が高いとみられる債務者
現状、経営破綻している訳ではないが、経営難の状況にあり経営改善計画等の進捗状況が芳しくない債務者。
実質破綻先
実質的に経営破綻している債務者。
法的、形式的には経営破綻の事実が発生していないだけで、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しが立たない債務者
破綻先
法的・形式的な破綻の事実が発生している債務者
・会社更生、民事再生、破産、特別清算は、申し立て時です
・銀行取引停止処分は決定時になされます