6月6日事業計画書の必要性を見直すチャンスです
緊急事態宣言があけて1か月が経とうとしています。
企業の資金繰りは、今まさに刻一刻と変化し、ひと段落ついている企業、これから正念場をむかえる企業と様々ではないでしょうか。
とにもかくにも、現状、企業にとって必要なものは「現金」、キャッシュでしょう。資金繰りを見据えた上で融資の戦略を取る必要があります。
コロナ関連融資で、比較的融資に関しての審査は緩和されているかもしれませんが、金融機関も右から左へとそう簡単に融資を承諾するとは言い切れません。
財務内容が健全で、普段はあまり事業計画や試算表を気にしていなかった経営者の方も、今回の件で財務諸表を気にする機会も増えたのではないでしょうか?
コロナ関連融資とは関係なく、今までの事業継続において金融機関からの融資を受けたことのある経営者の方は、融資申込にさいして以下のようなことを聞かれた覚えはありませんか?
・赤字に落ち込んでしまった原因は何ですか?いつ頃、業績を回復して行けそうですか?
・金額の申請の根拠はどこにあるのですか?こんなに(もっと)必要ではないのですか?
・返済期間は、考えていますか?
・担保や、保証の条件はどうするのか。何か提供できるものはないのか…
今回に関しては、コロナウイルスの影響はどれくらいあり、どの程度計画に織り込んでいますか?
融資をする金融機関からすれば、当然確認しておきたいことです、聞かれない訳がありません。そして、これらを口頭ではなく、1つ1つ書面で確認できる「資料」として提出をしてくださいと言われます。
数字の根拠を示すだけであれば、設備の見積書や、将来の売上を約束する契約書、融資の返済予定表等、準備は難しくありません。
が、少し手間がかかるのが「事業計画」です。
平時から準備をしておきましょう。
事業計画書は、金融機関に対して、「未来を語れる唯一の資料」です。
5年先、10年先の不確定要素を予測しながら数字に落とし込んでいくのは、決して簡単なことではありません。
まして、今回のような事態になれば、直近3か月の予測すら難しいと言えるでしょう。
しかし、だからこそ「今が苦しい業績でも、正確かつ根拠のある事業計画」を作あげ、金融機関に明確に提示するべきであると言えます。
なぜなら、融資審査を早める可能性を高めることができるからです。
実際に、
・業績赤字になったが、計画を練り込んで明示したことで運転資金融資を調達できた
・債務超過状態でも、事業計画を出したことで審査でプロパー融資を調達できた
という報告があります。
普段から「事業計画」を意識しておくことがいかに重要であるかと言うことです。
事業計画作成のポイント
数字の根拠を文章化する
融資とは少し離れますが、
「今月の売上目標1,000万」と掲げるのと
「今月の売上目標1,000万、内800万は経費。但し、目標を達成した場合は従業員に還元する。みんなで頑張って1,000万を超えてくれ」
と、どちらが響きますか?
「1,000万、上げなければ、倒産」
これでも、単純に「1,000万」とだけ言うよりも、響きますね。
融資を受ける「1,000万」はこれこれに使います。この資金を使うことで、これだけの効果があがります。したがって、いついつまでに返済できます。
と、明確に文章化して金融機関に提出できる準備が必要なのです。
B/S P/L C/Fを把握する
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフローを常に意識することが重要です。
顧問税理士に丸投げしていませんか?
難しいことは分からなくても、まずは「キャッシュフロー(C/F)」から見ていきます。
利益の中から、借入の返済原資を賄えていますか?
返済を借入した資金で賄っていませんか?
手元に現金があれば、借金を借金で返済していても直ぐには問題は発生しません。しかし、ひとたび資金が詰まれば一気に悪化します。
まずは、キャッシュフローを把握してください。そして、損益計算書(P/L)、貸借対照表(B/S)に目を移していきます。
債務超過なのか、資産超過なのか、最低限それだけでも把握しておきましょう。
単純に赤字か黒字かだけではなく、どれ位の数字が出ているのか把握してください。
自社の強味を正確に打ち出す
素晴らしい事業アイデアをお持ちであったり、どこに出しても誇れる商品をお持ちであるのに、それを事業計画書に載せていない。
誇張のしすぎや嘘をつくことは、信用を失い企業の衰退を招くのは間違いありませんが、せっかくお持ちの素晴らしいものを世に出さないことは非常に勿体ないことです。融資を受けることで、今後どれだけの成長が見込めるのかを、遠慮なく誇張なく、正確に金融機関に伝えていくべきです。
「間違いなく返済をしてもらえる」、金融機関にとっては、一番重要なことです。
それを伝えるには、シンプルなことですが、
「融資でいくら必要なのか」
「その資金は何の為に使うのか」
「いつまでに」
「どうやって」
返済するのか
これらを端的に伝える資料を揃えることで、審査のスピードは各段に早くなります。
今後、資金繰りで融資が必要になる経営者様、これらを意識して「事業計画書」をご用意ください。