資金,調達,直接,債務者格付け、担保,信用保証協会

 

融資以外の資金調達方法

財務内容や何らかの理由があって、金融機関から融資を受けられない場合、もう他には資金を調達する方法はないのでしょうか?
そんなことはありません、他にもいくつか資金調達手段はあります、代表的なものについてみていきます。

リース・割賦の活用

業種によっては、大型の機械設備が必要なこともあるかと思います。それら機械設備の導入にあたっては、金融機関による長期の融資を実行してもらうことが一般的かもしれません。が、状況によっては、金融機関を利用せずに、リースや割賦を用いた方が資金繰り面で有効な場合もあります。
銀行は、金融機関からの借入総額を見て融資の可否を判断する傾向があります。また、信用保証協会の保証の枠の問題もあるので、融資=銀行の考えでいると、資金調達のタイミングで「今だ!」という時に、銀行から融資が受けられないという事態が発生することも考えられます。
そういった場合に、設備機械のようなリース契約の結べるものであれば、必ずしも金融機関を頼らずに資金調達をした方が良い場合もあります。
金融機関からの借り入れ総額を増やすこともなく、したがって、信用保証協会の枠に影響を与えることもなく、「いざ」という時の為に備えることが可能となります。
厳密には、リースは資金調達の手段ではありませんが、設備を調達する際に、購入資金を工面できる方法ですので、ここではあえて、資金調達の1つとさせていただきました。

リース

正式には「ファイナンス・リース」と言います。
企業が利用する物件をリース会社が購入し、リース期間中、企業がリース会社にリース料を支払うことによって、リース会社は物件の購入代金+手数料を回収するという契約です。原則として、リース期間中の途中解約はできません。

リース活用のメリット リース活用のデメリット

@設備導入時に、まとまった資金が不要
月々のリースを支払うことで、金額の大きな設備を手元資金を大きく減らすことなく導入することが可能で、資金繰りには大きく貢献すると言える。

@中途解約はできない。
銀行融資の場合は、資金繰りでどうしてもと言うば場合には、リスケにも応じてもらえるが、リース契約には、基本的にリスケと言う概念が存在しない為、毎月定額のリース料を払い続ける必要がある。
支払が滞ると、リース会社に対する債務不履行となり、期限の利益を放棄させ一括回収を請求されるか、リース物件を引き上げられてしまう。

Aリース料が定額であるため、資金繰り管理がしやすい。
設備を購入した場合には、減価償却費や固定資産税、融資の支払い利息、設備の保険料等の計算が必要であるのにたいして、リースの場合は、定額リース料だけの管理で足りるので資金繰り管理の負担が少ない。

A融資に比べて割高になりがち。
定額で、資金繰り管理はしやすいですが、物件価格だけでなく、税金、保険料等の付随コストも上乗せされているため、どうしても、支払総額は大きくなりがちです。これらのお金は、「リース料」にまとめるか、細かく資金繰りをするかの判断のわかれるところです。

B設備所有に関する事務処理の簡素化、コスト削減効果が見込める。
設備を取得すると、設備購入手続き、保険手続き、固定資産税の納税、設備廃棄手続き等、様々な付随手続きが必要になりますが、リースの場合はこれらの手続きは不要になります。もちろん、その分の人件費も不要ということになります。

B物件の所有権が取得できない。
リース料を支払うことで、設備を借りていることと同じ状態なので、期間の経過によって対象物を返却。引き続き継続利用をのぞむのであれば、リース契約を延長、再リース契約ということになる。使い続ける限り、支払続けることになります。

割賦

割賦販売とは、設備購入代金を分割払いで支払うという売買形態です。クレジットカードで商品を購入して、リボルビング払いで代金を支払う方法がそれです。設備購入の為に、一括で大きな資金を用意する必要がなく、毎月定額の支払いで設備が購入できるということです。

割賦利用のメリット 割賦利用のデメリット

@設備導入にまとまった資金が不要
月々の分割支払いで購入ができるので、手元資金を減らすことがないので、資金繰りにプラスの効果がある

@中途解約できない
リースと同様、契約期間中の中途解約は原則不可。

A契約期間や対象物件が柔軟
リースの場合は、契約期間の上限に制限があるが、割賦販売の場合はその制限がないので比較的柔軟に期間の設定が可能。
金融機関により若干の違いはあるものの、リースに比べて取引対象となる物件の種類の幅が広い。

Aコスト管理が必要
減価償却費を始めとした、様々なコスト計算をして数字を管理をする必要がある。

B対象物件の所有権を取得できる
リースの場合は、リース期間終了とともに、物件を返却するか再リースかの選択になるが、割賦の場合は、支払期間終了(代金完済)で所有権が移るのでで、以降は資産として持つことができる。
自社所有が適当であると想定できる設備は、リースではなく割賦による導入を検討するべきです。

B頭金が必要な場合もある
毎月定額の支払いではあるが、場合によって?は「頭金」を求められることもある。
初期費用を抑えたい場合は、リースとよく比較検討すること。

経営セーフティー共済

「経営セーフティー共済(中小企業倒産防止共済)」とは、中小企業が取引先の倒産の影響を受けて連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための国の共済制度です。
どんなに健全な企業でも、取引先の倒産という事態はいつ起こるかわかりません。
万が一、大口取引先が倒産し、その企業に対して売掛債権を持っていて焦げ付いてしまった場合には、そのあおりで最悪の場合連鎖倒産という事態も考えられます。たとえ、倒産まではいかなくとも、一気に資金繰りが悪化してしまうことになるでしょう。
経営セーフティー共済は、そのような不測の事態に直面した中小企業にとって、迅速な資金調達の手段として重宝します。

加入条件

事業を1年以上継続している中小企業者で「資本金の額」「従業員数」の要件があります。

業種

資本金の額
又は出資の総額

常時使用する従業員数
製造業、建設業、運輸業その他の業種

3億円以下

300人以下

卸売業

1億円以下

100人以下

サービス業

5,000万円以下

100人以下

小売り業

5,000万円以下

50人以下

ゴム製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)

3億円以下

900人以下

ソフトウェア業又は情報処理サービス業

3億円以下

300以下

旅館業

5,000万円以下

200人以下

→経営セーフティー共済HPより
以上の、資本金もしくは従業員数の要件にあてはまる、会社または個人の中小企業者が加入できます。

 

掛金・貸付限度額

毎月の掛金は5千円から20万円まで(5千円単位)で自由に設定できます。積み立て総額800万円まで。貸付限度額は積立金の10倍までです。
積立残高が500万円あれば、貸付は5000万円まで可能ということです。
更に、取引期間が1年以上あるような主要取引先(売上高の20%以上を占める取引先)が倒産した場合は、回収困難となった売掛債権等の額に、一定額が加算され、原則的な上限よりも多額の貸付を受けられる場合もあります。
貸付ですから、当然返済は必要です、返済期間は貸付額によって変わりますが5年から7年(据え置き期間含む)です。無利子、無担保、無保証で借りることができますが、貸付を受けた金額の10分の1に相当する金額が、掛金総額から控除されます。控除額に相当する掛金の権利も消滅します。

 

倒産とは、経営者であれば必ず耳にしたことのある言葉だと思いますが、そもそも、その意味をよく理解していますか?倒産と破産は違います、
ウィキによると
倒産(とうさん)とは、明確な定義はないが、概ね、個人や法人などの経済主体が経済的に破綻して弁済期にある債務を一般的に弁済できなくなり、経済活動をそのまま続けることが不可能になること(あるいはそのような恐れが生じること)をいう。

 

法人の場合は、経営破綻(けいえいはたん)ともいう。倒産状態になった経済主体による、債権者への弁済のための処理ないし手続を、倒産処理ないし倒産(処理)手続といい、私的・法的の区別と清算型・再建型の区別とがある。

 

法的倒産手続には、日本の場合、破産、会社更生、民事再生などがある。倒産手続は、債権者から申し立てられる場合と債務者(倒産者)自身が申し立てる場合のほか、特殊なケースとして監督当局の申立てによって開始することもある。

 

なんだか、分かったような、分からないような感じですね。
ただ、セーフティー共済の貸付を受けるには、取引先の「倒産」が要件となりますので、法的整理であれ、私的整理であれ、しっかりとした手続きを踏んでいないと、貸付が受けられません。俗にいう「夜逃げ」、これは、「倒産」にはあたらないので、ある日突然取引先と連絡が取れなくなってしまった、それが引き金で資金繰りが悪化してしまったと言うような場合は、残念ですがこの制度は利用できません。

保険契約者貸付制度

「保険契約者貸付」とは、保険契約期間中に一時的に現金が必要になった場合、その時点の解約返礼金の一定の範囲で、保険会社から金銭を借りることができる制度です。
従業員や経営者にかけている生命保険を解約して、解約返礼金によって資金補填をすると、その時点で補償を受ける権利を失いますが、契約者貸付であれば、補償を維持しながら資金調達が可能となります。生目保険担保融資を利用するよりも手続き自体も簡単で、現金化までに時間もかかりません。

少人数私募債

「少人数私募債」とは、社債の一種ですが、社債を発行する場合に必要となる財務局への有価証券届出書や有価証券通知書等の提出と言った行政手続きの必要がなく取締役会の議決だけで発行できると言う点と、償還期限(返済期限)や利率を自由に設定できる等、中小企業が利用できる直接金融として、使い勝手のよい手段です。
金融機関から融資を受けることが困難な企業にとっては、有効な資金調達手段です。

 

 

このページの先頭に戻る

コンサル,パートナー,横浜,川崎
トップへ戻る